管理コンサルティング

分譲マンション管理検証シリーズ


第一回 管理会社とは

  管理会社とはどのような事業を営んでいる会社でしょうか?

 

○△農家は、米・野菜・畜産といった、私たちが生きるための食材を生産しております。

 ○□商店は、その食材を仕入れ、私たちへ小売しております。

 △□物産は、海外から重要資源を輸入し、第2次産業を活性化し経済の流通を担っております。

 

総括すると、日本経済における企業は、生産をすること(産業)を業とし、認知されるわけですが、管理会社は何を生産しているのでしょう?

 正解は、何も生産してません。

ある大手(?)と称される管理会社は、札幌市中央区の都心商業ビルに事務所を構えているが、その事務所賃料及び、多数の社員の人件費は誰が支払っているのでしょう?

 

正解は、マンション住人です。

 何故、皆さんマンション住人が管理会社の事務所賃料を負担し、管理会社の社員へ給料を支払い、更にはボーナスまで支払うのですか?

 

管理会社には「フロントマン」と称される社員がおります。このフロントマンとは、各分譲マンション所有者の団体組織である「管理組合」との窓口担当者のことです。

 

当然「管理組合」との窓口業務を行なう訳ですから、管理業務に関する全般知識は勿論、区分所有法・会計業務・法定業務・建物維持管理・修繕工事等々のさまざまな分野での専門知識が要求されます。更には「管理組合」といった複数の所有者が構成している団体との交渉窓口ですから、複数の方々を理解させれる特殊な交渉能力(営業力)を有している筈です。

 

読者のマンションでのフロントマンはどのレベルでしょう?

 

札幌市のM管理会社は、フロントマン一人が約50棟の管理組合を担当しております。

 一棟の管理組合では年間最低でも約6回の管理組合行事(総会(年1回)・理事会(年5~6回))が開催される訳ですから、単純計算でも、年300回(50組合×6回)の管理組合行事に参加しなくてはいけません。物理的に不可能なことが現実に行われているのです。

 

殆どのマンションでは、分譲される際、既に管理会社が決定しており、管理運営のルールであり法律である「管理規約」が制定されております。ここに大きな落とし穴が待ち構えております。

 

勿論、マンション購入者が管理規約を制定すれば、こと問題は起きませんが、それには相当の専門性が必要とされます。よって、分譲業者が管理規約を制定することは、それはそれで仕方のないことなのですが。

 分譲業者が分譲時(売買契約時)に説明する「重要事項説明書」には、「管理の委託先」「委託する管理業務」が予め決定されております。

 

最近では別紙を用意し「管理に関する承認書」なるものも用意され、向こう2年間は、

 

一.管理会社を変更できない。

一.管理規約を必ず遵守すること。

 一.管理会社との管理委託契約は、本承認書をもって締結されたものとする。

 といった、傍若無人極まりないことがまかり通っている始末です。

 

 

以下、札幌市中央区に所在するマンション(総戸数129戸)の、管理会社の横領行為ともいえる実例ですが、

  1. マンション内の各下請点検作業において、管理組合が支払う代金をピンハネしている。

  2. 管理受託手数料が論外に高額である。

  3. 新築時の無償点検作業が存在するにも拘らず、管理組合より有償受領している。

  4. 領収証が存在していない。

  5. その他(列挙しきれません。)

     

 

 このマンションでは、その後他の管理会社3社より見積を取り、なんと年間700万円の収支改善を実施致しました。

マンション購入時に「管理に関する承認書」若しくは類する書類を承認している結果が、この結果となっているわけです。今一度見直されてはいかがですか?

これは、分譲業者の系列会社である管理会社を、分譲業者と管理会社が結託して、意図的に利益を貪っていると断定しても過言ではないでしょう。

 

昨年8月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(この法律は、本シリーズ第七回時に検証致します。)が施行され、管理会社へ法律の定めによる義務且つ、業務を行なうよう徹底されました。又、管理委託契約の重要な事項の詳細も、管理組合へ書面をもって説明するよう義務づけられました。

しかし、現実は義務のみの履行状態であり、この法律が機能するのはまだまだ先のことでしょう。

 

 


第ニ回 管理組合

 意外なことに、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)には「管理組合」という用語はございません。同法には「区分所有者は全員で………団体を構成する」と記載されております。更には、管理規約も制定する必要はございません。

 

要は、モラル・道義を重んじ、集団生活における業務執行体制を整え、適正な管理を行えば良いのです。

 

しかし、ここで重要なことは、団体を構成した「管理組合」には、莫大な収入及び、支出が存在することです。マンション住人は、マンション購入時に予め設定された管理費・駐車料金を毎月支払われております。

総戸数50戸のマンションの場合、月額の管理費収入は約100万円にもなります。皆様のご家庭の毎月の収入と比較して下さい。

 

一般家庭の主婦は、スーパーの新聞折込チラシをみて、1円でも安い商品を買いに出かけます。そして将来の為に、倹約したお金を貯めております。

現在の各マンションの管理組合において、一般家庭のように倹約につとめている組合はあるでしょうか?

 

管理組合の理事会とは、理事長以下、数名の理事で構成する執行部のことですが、苦労のワリには権限のない、ご苦労の多い組織となっております。その結果、大多数のマンションでは、持ち回り役員(理事)となっており、毎年若しくは、2年毎に役員が順送りとなっております。

 のような状態の理事会では、一般家庭の主婦役は務まる筈はなく、倹約どころか、管理会社が作成してきた「収支会計報告書」すらめくら判が押されているに違いありません。

 

 

  札幌市南区に所在するTマンション(N管理会社)での実例ですが、

  • 水道料金差額(受水槽による親メーター検針の場合、差益金が発生致します。)を管理会社が着服していた。

 

 この事実は、数年に渡り発覚されず、横領した管理会社も大問題ですが、管理組合の会計監査が全く機能していない何よりの証拠でしょう。

にも係わらず、同マンションでは、「管理規約改正委員会・ペット飼育委員会」といった、数年交代の理事では継続的な検討が出来ない、レベルの高い諮問機関を設けており、本末転倒というべきか、それとも自己満足というべき組合運営がなされておりました。(笑い)

財布の中身も確認しないで、買物に出かけるようなもので、昨今の政治化の国会答弁と非常ににかよっているとはおもいませんか?

 

 

札幌市豊平区に所在するM平岸マンションでの実例ですが、昨年、同マンションの理事長より著者へ、「管理組合運営全般に関する見直し」の相談を受け、管理収支・設備点検業務・管理委託契約内容・修繕計画等々の各事項を精査致しました。

その結果

  1. 管理支出費 年間100万円の削減

  2. 管理会社への包括委託の中止及び、管理会社の変更

  3. 精算管理の実施

  4. 修繕計画の見直し

  5. 管理費滞納者への督促方法の変更

     

以上の抜本的見直ができることが確認され、理事全員の同意も得て、総会へ諮ることとなりました。

総会とは、管理組合における最高意思決定機関であり、事前に議案書等により組合員へ明確な議案の提示をしたうえで総会を開催致します。

勿論、同マンションもそのルール通りに総会開催の招集を行いました。

 

しかし、ここに驚きの事実が待ち構えておりました。

総会席上において、理事全員が良かれと納得していた提案がことごとく否決されたのです。

 

 その理由は後日判明しましたが、事前配布した総会案内を管理会社が入手し、委託契約の解除を阻止するべく、複数の住人に根回しをし、議案を否決させるようしむけたのです。

総会終了以降、理事全員の落胆は言うまでもなく、現在は全員が理事を退任しております。

この管理会社も複数の住人もいずれはS衆議院議員と同じ末路を歩むのでは。

 

管理組合いの運営がいかに大変であるかを物語っておりますが、決して他人事ではございません。  

組合が自立することが、健全な組合経営へと切り替わるのです。

 

 


第三回 管理費等会計

 皆様は、企業が会計年度終了後に作成される決算書類の「貸借対照表」「損益計算書」はご存知のことと思います。

 大企業含め殆どの企業は、より良い決算書とするため、銀行からの指摘を受け、全社をあげて売上の増加、経費の支出削減に取り組んでおります。

 

さて管理組合の会計はどのようになっているのでしょう。

 管理組合の会計も企業会計と全く同様に、会計年度を終了すると決算書類が作成されます。

 

 

ここでの重要なポイントは、管理組合は一般企業とは異なり、安定的な売上(管理費・駐車料等)が維持され、将来に備えられた預貯金(修繕積立金)が膨大な額として蓄えられている点です。

 管理費等の収入に対する支出は、管理会社への管理委託費・管理人人件費・公共料金・保守点検費等、多岐に渡ります。

 

巷の企業が社員を守る為更には、会社を守る為に血眼になって努力をしている昨今、管理組合は、管理会社への管理委託費の見直・ロードヒーティングの電気料の削減・ELVメンテナンスの保守料の削減・その他の法定点検料の見直など、多岐に渡る支出項目の経費削減に取組んでいるでしょうか?

 

管理委託費や保守点検費用等は、軽減することが充分可能です。

 

 皆様方のマンションではこのような取組みをなされているのでしょうか。

 もしかすると貸借対照表の理解に抵抗があり、財務能力にちょっと精通していない区分所有者が会計監査をしているのではないでしょうか。

 

 皆様方のマンションの管理組合の通帳名義と支出された費用の領収書を確認して下さい。 

通帳名義が管理会社名義になっていたり、支出された費用の領収書が存在しない。といったことはございませんか。

 

 旧建設省の強い指導もあり、管理組合の通帳名義が管理会社となっている例はほとんどなくなりましたが、支出された費用の領収書が存在しないといったマンションはかなり存在します。今一度ご自身のマンションをお確かめ下さい。

 

収書が存在しないことの問題点は、本シリーズ次回、第四回「管理会社の収益」にて検証致します。

 一般企業が不明朗な会計をすることは許されません。しかし管理組合の不明朗な会計は結構多いのです。

 

 

修繕積立金の残高は、築10年前後のマンションの場合、数千万円の規模となります。

 ほとんどの管理組合が、定期預貯金・有価証券・金融商品等へ振替え保管しております。

 

しかし、著者が先日相談を受けた中央区のマンションでは、元本割れの可能性のある金銭信託へ積立金が利用されてました。勿論その利用は、同マンションの総会での決議事項となっておりましたので問題とはなりませんが、元本割れの可能性があるという事実を認識している組合役員がいなっかたのも事実です。

 

  その金銭信託の預け先である某銀行は、そのマンションの管理会社のメインバンクであることはいうまでもございません。

 (本シリーズ第五回時には、この修繕積立金から発生する修繕工事の実態を検証致します。)

 

 安定収入且つ、膨大な預貯金を保有している管理組合は、現在の日本経済において異端児といえる優良企業(組合)です。その優良な管理組合を自由に操っているのが管理会社です。

 

 皆様方のマンションで、管理受託している管理会社自らが、

 

一.自社の管理委託費の削減を提案する。

一.電気料金等の節約に関する提案をする。

一.小修繕を早期実施し大規模修繕を削減する。

一.その他、支出改善提案

 

といった提案をされたことがあるでしょうか。

 

 このような提案を管理会社に期待してもそれは無理です。管理会社自身の売上に悪影響を及ぼすからです。

管理組合の会計は、一般家庭の主婦が行う家計簿と同様に、1円でも安く経費を節減する努力が必要です。

言い換えますと、マンション住人は全員が節約主婦にならないといけません。

 

 支出を抑えること、修繕積立金を蓄えることは充分可能です。元来優良企業である管理組合が超優良企業へ変身することは、どのマンションでもできることです。

 

 


第四回 管理会社の収益

 本シリーズ第一回時に管理会社の収益についてさわりを検証致しました。

 本書では更に掘下げて検証してみましょう。

 

札幌市西区に、Sマンション(総戸数38戸)とKマンション(総戸数40戸)が隣接して建っております。

 双方とも、ほぼ同規模且つ、同等の築年数ですが、

 

  Sマンション(38戸)

 管理費平均  9,000円

 駐車料平均 10,000円

 月額収入    約72万円

 

  Kマンション(40戸)

 管理費平均  6,000円

 駐車料平均  8,000円

 月額収入    約55万円

 

  この違いに疑問を抱かない方は不自然ですね。

 AスーパーとBスーパーが隣接していた場合、お互いが意識し価格競争が発生します。

 主婦にとっては誠にありがたいことです。

 

 しかし隣接するマンションではこのようなことは殆ど発生致しません。

 SマンションとKマンションの場合、月額収入の差額が17万円もあるということは、Sマンションの管理会社が住人へ毎月17万円を余分に負担させているということです。

 推測ですが、この差額の17万円は管理会社の収入となっているかもしれません。

 

 

 エレベーターの保守契約・消防設備の点検契約・衛生設備の点検契約等、マンションには法で定める点検契約が存在します。更には、定期清掃費・除雪費・設備点検費・警備料といった請負業務があります。

 これらの法定点検や請負業務は、管理会社自らが業務を行う訳でなく、殆どが専門業者へ下請委託されております。

 

 この場合、委託契約書が締結されておりますが、皆様方のマンションでは、この契約書が開示されてるでしょうか。

 契約書の当事者は誰となっているでしょうか。

 

原則的には、管理組合と業務受託者が契約の当事者とならなければなりませんが、管理会社が管理組合代理人として契約当事者になってはいませんか?

 

 以下実例ですが、豊平区のMマンションの場合は、管理会社が管理組合代理人として各契約を締結しており、契約書の開示は勿論、請負業務の支払代金の領収書も存在していないといったことが実在しておりました。何故でしょう。

 

 理由は、管理組合への支出報告額と請負額に差額があり、請負代金の差益をピンハネしていたからです。

 再三再四、同管理会社へ事実確認致しましたが、「契約書は開示する必要がない。」「会計監査に適正な会計であることは認めて頂いている。」との回答を繰り返されました。

 その後、同マンションの管理組合総会を経て、同マンションの管理収支が大幅に改善されたことは紛れもない事実です。

 

マンションも築年数が経過致しますと、修繕工事が発生してきます。このような工事を全て管理会社が受注し、実際の作業は下請業者に任せるといった事例があります。

 自社に工事部門がないのは明かなのに、工事を受注し、下請業者からの請求に何割か上乗せし管理組合へ請求するといったことが恒常化されてます。

 

まさに管理物件の補修工事で稼いでいるわけです。

 また社員にも工事売上のノルマがあるとか。それにまつわるトラブルも耳に致します。

 

 一概に管理会社を責めるより、このような取引をさせない管理組合になる努力が必要です。

 

ある管理組合では、委託業務以外は原則管理会社の領収書を認めない。請負業務は見積合せを実施し、直接管理組合が発注する。管理会社にはその業務の履行確認・工事監理のみを行わせる。といった改革をし成功を収めている組合があります。

 

 管理会社が管理受託費以外の項目で手数料を受領する場合は、当然管理組合の承認が必要です。

 この承認なくして、前述した請負作業におけるピンハネ、修繕工事における上乗せ請求などは、善良であるべき管理会社の、管理組合に対する「裏切り行為」若しくは、極端な表現ですが「詐欺行為」といっても過言ではないでしょう。

 

 


第五回 大規模修繕工事の実態

 現在、新築マンションでは住宅金融公庫の定めにより、優良分譲住宅に限り長期修繕計画案の策定が義務付けられている。 

 

 これは完成したてのマンションでありながら、向こう20年間の間に発生すると予測される修繕を先読みし、その修繕費を当初より入居者に負担(積立)させるといった内容となっている。

 

極端な例え話しとなるが、生まれたばかりの赤ん坊に、医者が向こう20年間(20歳まで)の長期医療計画を提示し、その医療費を生後すぐ病院に積み立てさせるのと同じである。

しかし、日本の住宅は耐用年数が短く、現実に20年も経過すると殆どの住宅はボロボロとなっているのだから、修繕積立金を当初より積んでおくことは、重要であろう。

 

 

 

ここでのポイントは、総戸数50戸程度のマンションの場合、集められる修繕費は10年後において、なんと5,000万円もの残高となることである。

 

この5,000万円の残高になることをマンション購入者は殆ど理解していない。しかし賢い(ズル賢い?)管理会社は当初より10年後を目標に、虎視眈々とこの積み立てられた修繕費を、管理会社のふところに入れることを狙って入る訳である。

 

事実、著者の知る数棟のマンションでは、築10年前後を堺に、管理会社よりあたかも必要性のある修繕工事実施起案書を提出され、数回の交渉の後に、まんまと管理会社が工事を受注している。

 

工事代金も1,000万円を超えている物件ばかりである。

 

 

 

ここでの問題は、管理組合にもあり、まず工事の必要性があったのか、管理会社以外にも工事の必要性を確認したのか又、管理会社以外から工事における見積を徴求したのか、などである。(実際問題として木造住宅ならいざしらず、鉄筋コンクリートのマンションにおいて10年前後で大規模工事が発生することは、欠陥マンションとも言えるであろう。)

 

またまた例え話しとなるが、医者から「レントゲンの結果、あなたは癌です。」と云われたら大多数の人が治療を実施するが、医者以外の人から「あなたは癌です。」と云われたらどうでしょう。管理会社が修繕工事を起案するのと似ていませんか?

 

 

本題に戻りますが、管理会社が当該マンションの修繕工事を受注している点ですが、ここに更なる問題点が内在してます。以下実例ですが、

 

 

ケース1

 

「当社(管理会社)以外からも見積を徴求し、競争入札により業者を選定しましょう。」との管理会社の話しを受け業者数社より見積を徴求したが、全ての業者が管理会社が仕組んだ業者であった。

 

 

ケース2

 

「管理会社は、管理組合より全ての業務を委託(代理)されているのであるから、実質的には管理組合の代理人である。

 

その代理人(言い換えれば「管理組合本人」)が、管理組合より営利を目的とした修繕工事を受注する事は、民法に規定する「双方代理の禁止規定」に違反する。」

 

との指摘を優秀な管理組合より受け、管理会社が修繕工事を辞退した。

 

 

何とも信じられないようなことですが、事実であり同様の経験をした管理組合も多いはずであろう。

 

大手ゼネコンの株価が急落している現実は、建築工事が発注されない又、公共工事が激減しているわけであるが、こと分譲マンションに限っては修繕工事といった宝の山が眠っており、その工事代金も即現金払いとなるわけだから、これに管理会社が目を付けない理由がない。

 

しかし管理会社の社員をみるかぎり、大手ゼネコンのように優秀な建築士・工事監督者がいるわけではない。はたして、そのような管理会社に工事を発注して不備のない工事が完工するのであろうか。

 

 

積み立てられた修繕費は、マンション住人個々の血と汗の貯蓄であることを忘れてはいけない。

 

本シリーズ第一回の「管理会社」編でも説明したように、管理会社はマンション住人が支払う「管理費」からも利益をピンハネしているのである。

 

マンション住人は今一度目を覚ます必要があることは充分お分かりであろう。

 

 

 

 


第六回 法定点検及び清算項目

  1.  分譲マンションにお住まいの方は、ご存知のことと思われますが、管理組合の会計年度が終了すると、管理会社から「決算報告書」が提出されます。

 

この決算報告書のなかで、一般会計のページに清算項目(請負項目)欄がございます。

 

この清算項目のなかで、エレベーター保守費・消防設備点検費・衛生設備点検費といった法律に基づく保守費用及び、清掃費・植栽管理費・除雪費といった支出項目があるはずです。

 

これらの支出項目における実作業は殆どが外部業者に委託されております。

 

皆様方は決算報告書に記載された金額が外部業者に委託された金額と思ってはいませんか?

 

 

 最近、この金額を疑問視する管理組合が増えてきております。

 

 清算項目における保守業務・維持管理業務が外注された場合、必ず請負契約書が締結されております。

 

しかしこの請負契約書が管理組合へ開示されていないマンションが結構存在しております。理由は何故でしょう?

 

 

答えは、管理会社が利ざやをピンハネしているため、契約書を開示することが出来ないからです。 

 

中央区大通のHマンションでのことですが、管理会社へ請負契約書の開示を求めたところ、次のような回答となっております。「マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、基幹事務以外の管理は、管理会社から第3者へ委託できることになっている。よって開示をする義務はない」

 

法律を盾に取り、管理組合を愚弄している回答としか聞こえません。

 

(マンション管理適正化に関する法律は、今後の本シリーズで検証いたします。)

 

 

 先日のことですが、札幌市中央区のSマンションの管理組合より、別件での相談を受け訪問した際、そのマンションではなんと全ての委託契約書(請負契約書)が開示されており大変感心致しました。

 

しかし筆者が各契約書の金額を確認したところ、どの契約金額も一般的な額より10~20%割高となっており、一部の請負項目では▲50%は支出削減可能な項目が存在しておりました。

 

 

筆者の推測(多分正解です)ですが、管理会社が請負会社よりバックマージンを得ているのでしょう。

 

後日談ですが、そのマンションでの請負業者は全てが管理会社からの推薦業者であることを聞かされました。

 

某国会議員の献金か収賄かといった論点と似ておりませんか?

 

 

 

 この問題点の解決方法は至って簡単です。

 

各清算項目をあらゆる業者に見積もらせれば良いのです。あとは時間が全てを解決してくれます。

 

 

特に、エレベーター保守費はこの清算項目のなかで支出が突出しているはずです。

 

エレベーターメンテナンス会社は筆者の知るだけで10社はございます。一度他社から見積もりを要求してみてはいかがですか?

 

▲20%程度は軽減されるかもしれません。

 

 

 又、消防設備の法定点検も年2回実施しなければなりません。(外観点検1回総合点検1回)

 

しかし北区のTマンションの管理会社は年2回の点検費用を管理組合から受領し、下請け業者へは外観点検を間引きして発注し差益を収入としておりました。巧妙且つ詐欺まがいの行為といえましょう。

 

 

 更には受水槽のあるマンションの場合、今一度水道局への「水道料金の特例申請」及び、過去の出納を確認してください。

 

  1. 総戸数と申請件数が相違していないか。

  2. 基本料金が戸建てと同様になっているか。

  3. 受水槽の親メーター検針による支払金額と各戸の合計請求金額との間に差益は発生していないか。

     

 

 最近相談を受けた2つの管理組合では双方とも①~③の一点が該当し、無駄な管理支出及び、管理会社の不当利益に至っておりました。

勿論、受水槽の衛生点検作業が確実にされているのかといったことも重要です。

皆様が毎日飲用する水です。汚れていては大変なこととなります。受水槽の衛生作業の場合、作業前・作業後の写真が報告書に添付されます。写真が存在しなかったり、他のマンションの写真だったりといったことが現実に存在しているのです。

 

 読者のマンションでも同様のことがございましたら、請負契約書を再確認する。領収書を再確認する。各見積を徴求する。過去の報告書を確認する。といったことをされることです。

 

 もちろん善良なる管理会社も多数ございますが、「疑惑の管理会社」も同様に多数ございます。

前号でも述べましたが、管理会社へ期待してはいけません。

しかし、皆様方が無駄な支出をされていることを筆者は容認できません。

清算項目は多岐に渡っております。その全てが見直し可能なことをお忘れなく。

 

 


第七回 マンション管理推進法

 

マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、本法律と言います)

 

 

 マンション居住者の大多数の方はご存知のことと思われますが、平成13年8月1日に本法律が施行されました。

 

日本全国には約370万戸のマンションストック(内北海道20万戸)があり、約1,000万人が居住しております。その内約85%のマンションが管理会社に管理を委託していると云われております。

 

これだけのボリュームがありながら、これらを縛る法律が今日まで存在しなかったのです。

 

そこで国土交通省がようやく重い腰を上げ、マンション住人を守るため(甚だ疑問ですが)の法律を施行したのです。

 

この法律は、

 

  1. 総則

  2. マンション管理士

  3. マンション管理業

  4. マンション管理適正化推進センター

  5. マンション管理業者の団体

  6. 雑則・罰則

にて構成されております。

 

 しかし筆者が本法律全113条に渡る条文を読むにつれ感じたことは、一言「お決まりのパターン」と言えます。(日本の法律は殆どが監督の強化であり、弱者の保護にはなっておりません)

この法律の施行で既存のマンションが適正化されることはまずないでしょう。

事実例として、本法律の施行した国土交通省のホームページには、「マンション管理の現状と課題」と称して

 

  1. 管理組合運営関係

    • 住人の専門知識不足

    • 専門の相談員不足

    • 管理規約の見直し

    • 組合活動の人任せ

  2. 修繕関係

       略

  3. 管理委託関係

    • 全国の約85%が管理会社へ委託

    • 重要事項説明不足

    • 管理会社名義の通帳の存在

  4. 管理会社の登録が任意のため、未登録業者に対する業務規制が及ばない。

等々の課題が掲示されているのです。 

本法律を施行した当事者の課題であることが、筆者ならずとも賢明な読者でさえ理解に苦しむはずでしょう。

 

 本題へ戻りますが、本法律の中で筆者が若干関心をもったのは、第44条から第90条までの第三章「マンション管理業」です。

その内容は

 

  1. マンション管理業者登録

  2. 登録要件

  3. 管理業務主任者の設置

  4. 管理業務主任者の資格

  5. 重要事項の説明義務

 

から構成されております。

 本法律において、国が管理会社へ義務を課したこととして、管理業務を受託する際には、管理業務主任者をもって管理組合へ重要な事項を書面にて説明し、了承を得なければならないとなっております。

 

 

札幌市内でも殆どのマンション管理業者は本法律施行以降、この重要事項説明書を管理組合へ交付しております。

筆者も10棟程の組合から重要事項説明書を拝見させて頂きました。

しかし、どの管理会社の重要事項説明書も項数にしてB4版が2枚若しくは、A4版が3枚程度といった簡素なものばかりで且つ、ほとんどがマニュアルでもあるがごとき類似性を帯びておりますす。

 

 このような書面だけでマンション管理に関わる重要な事項が記載されるはずはあり得ません。

筆者が本検証シリーズ(今回で○回目)で述べているだけでも、マンション管理の問題点は山積みです。本来であればこれらをこと細かく説明する義務が管理会社にあり、そのための法律なのです。

 

某管理会社の重要事項説明書には驚かされました。

「基幹事務(出納業務など)は自社にて行うが、基幹事務以外の管理業務(保守・点検業務など)は第3者へ再委託できる」と堂々と記載されておりました。

筆者が再三再四問題提起していることが、管理会社のご都合通りとなっているのです。

 

 

更に驚かされたのは、このマンションの管理組合が第3者への再委託の契約書の開示を要求すると、その管理会社は

「本法律に基づき、基幹事務以外の管理業務は第3者へ再委託できることとなっており、重要事項でも説明したように、あくまでも弊社と各下請業者の契約であることをご理解願いたい。」と説明し、管理組合への契約書の開示を拒否いたしました。

法律を逆手にとって拒否するなど論外なことです。

この管理会社はいずれ世論の批判を浴びることでしょう。

 

 マンションを購入された方は思い出して下さい。

マンション購入時に売主より「管理規約」「使用細則」「管理業務の実施要領」なる書面(数十ページ)を受け取ったはずです。にも拘らず、管理会社が2~3ページの書面のみにて説明し、当初の「管理規約・使用細則等」の説明を割愛することが許されるのでしょうか。

本法律が更に改正されること、管理組合が妥協・納得しないことを筆者は期待します。

 


第八回 建物の区分所有法等に関する法律(区分所有法)及び、老朽化における建替え vol.1

 皆様は分譲マンションが老朽化するとどうなるかお分かりでしょうか?

 

大多数の方が「建替えが出来る」とお答えになると思われます。

 

 

 

筆者は先日、築33年を経過した札幌市中央区の分譲マンション(総戸数36戸)の所有者より売買に関するコンサルティングを受けました。

 

同マンションの管理組合では、それこそ建替えを検討中とのことで、建替えが実施されてから売却するか、若しくは建替えられる予定があるものとして今売却するかといった相談でした。

 

そこで同マンションの現状を確認したところ

 

  1. 総戸数の内、約3分の1が賃貸住宅となっている。

  2. 賃貸中のオーナーの殆どは遠隔地に居住している。

  3. 新築当初からの所有者且つ入居者も約3分の1いるが、全員が高齢者となっている。

  4. 新築当時の所有者が亡くなり、複数の相続人が所有権を共有している住宅も数軒存在する。

     

といった状態でした。

 

同マンションの管理組合が、どのような裏ワザ(奥の手)を行使して建替えを検討しているのか一度お聞きしようとは思いますが・・・・

読者ならずとも同マンションが建替えられるとは到底想像し難いことでしょう。

 

 

話は戻りますが、同マンションの依頼者へは、今すぐ売却を行うことをお勧めいたしました。

(余談ですが、売却価格は排気量2000CCの新車価格並であったことを申し添えます)

 

 分譲マンションの基本法ともいうべき「区分所有法」には、建替えに関し以下のように明記されております。

 

  1. 復旧及び建替え

    (第62条~第64条)

    ・建替えには、区分所有者及び議決権数の各5分の4以上の多数の議決が必要

    ・決議事項には建替え費用及びその分担方法、建替え後の所有権の帰属を明記する

    ・建替えに反対した者へは、賛成者より建替えへ参加するか否かの催告を要する

    ・又、反対者は、賛成者へ買取を要求できる

    ・反対者は2ヶ月以内に建替えに参加するか否かの回答を要する

    ・回答なき場合は、更にその後の2ヶ月以内に、反対者へ時価にての買取を請求できる

    ・しかし反対者に、反対における顕著な事由があるときは明渡しを1年間猶予できる

    ・以下、略

     

 

 簡単に説明いたしますと(矛盾点は別として)、法律上建替えは可能だが、制約は多い。よって建替えは至って困難である。と解釈できます。

1人でも反対者がいた場合に、強引にその方の住宅を奪い、強行に立ち退かせることが出来るのでしょうか?

(成田空港の建設問題を考えてみて下さい。土地収用法という伝家の宝刀がありながら、反対農家へはそれを振り下ろすことが出来ないのです。)

 

そこで国土交通省は、今年6月に「マンション建替えの円滑化等に関する法律」を成立させ、同月に交付致しました。

(ちなみに同法律はなんと全141条にも渡っております。)

 

同法律の概要は

 

一.マンション建替事業の施行

二.マンション建替組合の設立

三.権利変換手続

四.賃借人等の保護

五.事業の監督

六.建替促進の特例

 

等々、区分所有法の建替えの条文に不足していた、行政認可・組合の法人格・補助・融資・支援・権利変換・登記手続など、建替えが実施された場合の諸問題をかなり払拭された法律となっております。

(条文を読まれた方は、「これでやっと建替えがスムーズになる」と思われるでしょう)

 

 しかし筆者が疑問なのは、建替えが実行されてからの問題点の解決ではなく、建替えが実行可能か否か(反対者が発生した場合に、反対者を排除した建替えが可能なのか)という点なのです。

同法律は、前者に関し非の打ちどころのない内容ですが、後者に関しては全く手が付けられておりません。勿論、手を付けるのであれば強行法規しかございませんが、日本の行政ではこの立法化は無理でしょう。

 

 国交省もこの辺は理解しているらしく、同法律が今年6月に交付された以降も、国会の法制審議会において、区分所有法の細部見直しに意見・批判が繰り返されております。

これは、「建替え」という再開発を早く受注したい民間開発業者と、その族議員の主張(強行法規)に対し、法制審議会(反対者の権利の保護)との対立が争点となっているためです。

 

 今年秋口以降の臨時国会で区分所有法の改正法案が成立される見込みですが、強行法規にならないことは間違いございません。

結果として、旧態依然とした建替えが進行しない現実となることでしょう。

私の意見ですが、区分所有法や建替え円滑法の見直し検討も重要なことですが、机上の空論になってはいないかという点です。

 

札幌市内においても、築年数が相当数経過し、もはや建替えせざるを得ないマンションが多数点在しております。

しかし、本書冒頭での事例マンション同様、建替えがスムーズにすすむマンションがどれだけ存在するのでしょう。

憶測ですが、ほとんどが無理でしょう。

 

外壁の汚れた高層マンション・スラム化した各戸住宅・手入れがされていないエントランス・ゴミの散らかっている共用廊下・車両価格以下となった中古マンション価格など、綺麗好き且つ見栄っ張りの日本人が一番毛嫌いするものに分譲マンションは変化(退化)していくのです。

既に社会問題となった分譲マンションの老朽化対策ですが、益々その深刻さは加速されます。

政府が法律を見直し、スムーズな建替えができるよう審議していることで安心できないことは、筆者ならずとも本書を読まれた皆様がお気づきのことと思われます。

 

 頭書の質問における筆者の回答ですが、

「分譲マンションは老朽化すると廃墟を経て滅失し、他人同士が複数共有所有する土地だけが更地となって残る」

決して、戯言とは受け止めないで頂きたい。

 

 

次回は、本検証Vol.2として、分譲マンション及び分譲マンション管理の行く末を検証いたします。

 

 


第九回 建物の区分所有法等に関する法律(区分所有法)及び、老朽化における建替え vol.2

 皆様は「土地区画整理」という事業をご存知でしょうか?

 

簡単に図示しますと

このように、不整形な一団の土地を、土地所有者が共同で開発し、区画を整理する事業のことです。

 

 

区画整理を行うことによって、一般的には従前地より土地面積は減少いたしますが、道路・公園・公共設備などのインフラが整備され、坪当たりの付加価値は従前地より高まります。

 

又、区画整理を行う事業費も区画整理後の保留地を売却することで捻出し、土地所有者の負担を軽減致します。

 

 

 

 さて、分譲マンションの建替え事業はどうでしょうか、

 

前記の土地区画整理事業と全く同じであるとお考え下さい。

 

老朽化されたマンションが、負担が少なく新築に変わろことが可能であればいかがでしょう?

 

反対される方は殆どといっていいほどいないと思われませんか。

 

 

 

そのようなことが可能なのかという読者のためにご回答申し上げます。

 

  • 20~30年前の建築当時の都市計画法・建築基準法が、現在変更されている。

  • 現在の分譲マンション面積には、共用部分の面積を不算入することができる。

  • 元々、容積率を消化していないマンションが多い。

  • 建替え不参加者からの買取差益を授受できる。

  • 当時と現在の貨幣価値が変化している。

 

要約しますと、建替え後の延べ床面積が増加するといったケースが結構多く、又貨幣の高騰により含み益が発生するのです。

又、マンションの建替えは国土交通省が後押ししております。

建替え期間中の仮住まい(公営住宅等)には行政の協力が得られること間違いございません。

 このように考えますと決して不可能なことではなく、簡単且つ多大なメリットが存在することなのですが、現実は遅々として進まないのです。

 

 

先日、東京都新宿区の「江戸川アパート(築68年 総戸数258戸)」において建替えが決定いたしました。なんと計画が持ち上がってから30年が経過してました。

30年という月日の間には、志半ばにして、お亡くなりになった方もおられたことと思います。

建替えが決定したことは賞賛に値することなのですが、決定まで30年という年月が、マンション建替え事業の根本的な問題点でしょう。

何故なのでしょうか?

 

筆者の結論では、日本人の悪しき文化と見栄っ張り且つ自己主張の出来ない心理が行動を停止させているからです。

官依存・年功序列・持たれ合い・といった時代は終わりました。

これからの分譲マンション住人は、各自個々が立ち上がらなければなりません。

 

老朽化したマンションを建替えるには、

 

  1. 管理組合が法人格を有し、収益差損の発生する組合となる事

  2. 管理会社への一任依存を停止する事

  3. 管理会社を指導する事

  4. マンション住人各人が自己主張する事

  5. 法に従うのではなく、法を従わせる事

 

以上のどれか一点でも欠けると、廃鉱後の炭鉱村同様、老朽マンションが町を支配することとなるでしょう。

 

 管理費の滞納問題・暴力団関係者の居住・悪徳管理会社の横行など、分譲マンションという共同住宅には様々な問題が付きまといます。

しかし、幾何学や数学と違い、解決のできない問題は全くございません。

解決できないのは、解決を人任せ、管理会社任せにしているからです。

 

毎日ジョギングをされる方、お酒・タバコを嗜好されない方、健康管理に自信を持っている方でも寿命は存在します。

ヨーロッパの建築物と違い、日本の建築物は、鉄筋コンクリートと言えども情けないかな人間の寿命よりはるかに短いのが現実です。

それを更に加速し老朽化させているのはマンション住人ご自身であることをお忘れなく。

 

 


第十回 マンション管理の構造改革

 小泉内閣の構造改革では、声のみ高らかですが実際にはそう簡単にはいかないのが現実となっております。

 

構造改革に伴う利害関係が絡み合い、価値観が変化することにより人(企業)がついてこれないからなのです。

 

 

 マンション管理はどうでしょう。やはり構造改革の波が押し寄せていると私は実感しております。(勿論、各管理会社もいち早く察知してはおりますが)

 

本シリーズ第一回時に、「管理会社の社員の給料及び、事務所賃料は誰が支払っているのでしょう?」という問いかけを行い、「答えは、マンション住人です」とお伝え致しました。

 

今起こっているマンション管理の構造改革は、マンションにお住まいの方々が支払っている管理費が、管理会社の売上になっている事実に住人が気づき始めたからです。

 

管理会社へ支払い続けた管理費が、マンションの修繕費に充当されていた場合、超優良マンションになっていたこと間違いございません。

 

 

 

全国の分譲マンション世帯が400万戸に達しようとしております。しかし、この内の4分の3以上のマンションは、一度も管理収支の見直し、管理会社に支払う管理委託料の見直しがなされていないのです。

 

管理委託料という項目が存在すること自体おかしなことであるのに、その委託料が適正化否か検討すらされないマンションが約300万世帯あることが異常なことではないでしょうか。

 

構造改革に気づき始めたマンション住人と、気づいていても改革を実施させることを阻止したい管理会社の構図が浮かび上がってきます。

 

 

 

業界用語において「リプレイス」ということばがございます。

 

これは、管理会社の変更を意味致します。

 

管理組合が、リプレイスを行うことでのデメッリトは何もございません。逆に、リプレイスメッリトを挙げれば、列挙出来ないほどです。

 

マンション管理業者は、マンションディベロッパーが決めるのでなく、管理組合が決めることをお忘れなく。

 

 

 

 

先日、系列の管理会社を持たないディベロッパーが、札幌市西区にて新規分譲マンションの販売を計画いたしました。

 

発売前に各管理会社へ、管理収支・管理仕様のコンペを実施したところ、なんと一社の見積りには、管理委託料の項目が存在しておりませんでした。私も同見積りを精査したところ、全く明朗な内容であり、他社比較において、3LDKで月額3,000円割安となっておりました。

 

勿論、これが正常であることはいうまでもなく、一つの構造改革がすすんだ結果といえるでしょう。

 

この構造改革は多分、全管理会社へ飛び火していくと思われますが、マンション住人から指摘されない限り、各管理会社は沈黙を守り続けることでしょう。  

 

 

平成13年8月に施行された「マンション管理の適正化の推進に関する法律」ができてから、マンション住人の意識改革、管理会社の構造改革の変化が起こってきたますが、まだまだ裾野の状態です。

 

 

 

「マンションは管理を買う」とよく言われますが、具体的に何のことを言っているのかかお分かりでしょうか

 

マンションを販売するときに、売主は3P(プラン(企画・間取)・プライス(価格)・プレイス(立地))を最大のセールスポイントに起きます。購入者もその3Pを重要視しますが、これが実際の問題なのです。

 

 

マンション購入は結婚と同じです。夫婦が対等のパートナーである様に、マンション住人と管理会社も対等のパートナーとならなくてはいけません。

 

結婚前には必ず交際期間が存在します。(一目ぼれ即結婚のかたも、稀におりますが)

 

マンション購入前に管理会社と交際された方は何人いらっしゃるでしょう。限りなく0%に近いはずです。

 

マンション購入時に管理会社と面談することをお勧めいたします。そして以下の質問をしてみて下さい。

 

  1. フロントマンとの面談を要求すること

  2. 管理会社の収支見積りを確認すること

  3. 他社との比較表を要求すること

  4. 管理仕様に関する差別化(質の高いサービス)は何ですかと質問すること

 

質問に対する結果はおのずと想像できますが・・・

しかし、この質問に対応できた管理会社には2重丸を差し上げ、「管理を買った」と判断しても全く差し支えないでしょう。

 

最後となりますが、本シリーズを読まれた方々へお知らせ致します。

今、お住まいのマンションにおいて「構造改革」をご希望されるかたがおられましたら、無料相談に応じます。

お気軽に本誌へお問い合わせ下さい。お待ち申し上げます。

 

本シリーズ最終回にあたり、

ご愛読、深謝申し上げます。